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会社を作るメリットとデメリット
ここでは、一般的に言われている会社を作るメリットとデメリットについて検討していきたいと思います。
節税になる
確かに、会社設立により、机上論では節税になる場合があります。『会社を作れば給与所得控除が使える』し、『法人税は役員報酬を多くとって利益をゼロにすれば払わなくてよい』という理屈です。
しかし、実際はそれほど甘くありません。簡単に言いますと、『原則として社長の給料は1年間変更できない』というルールがあるからです(変更を認めない理由は法人税を払わせるためです)。
もちろん、『社長の給与を変更してはいけないルール』に対抗手段がないわけではありません。どの程度会社が成長するかを予測し(利益を予測し)、初めから社長の報酬を高くしておけばよいのです。そうすれば、会社は利益がゼロになりますから、法人税を払う必要はなくなります(ただし、赤字でも払わなければならない税金もあります:法人住民税7万円以上)。また、思ったよりも業績が悪ければ、社長から会社に対して貸付を行うという処理をとることになります。
しかし、これには大きな3つの落とし穴があります。
ひとつめの落とし穴は、社長の給与を高くしすぎると、『所得税が高くなる』のは当然ですが、『社会保険料まで高くなってしまう』というものです。ちなみに、不景気が続く現在の日本企業においては、税金よりも社会保料険の方が高額である場合が多く、経営を圧迫する材料となっています。ちなみに、社会保険に加入しないという方法も実務上とられている場合がありますが、もちろん違法です。それなりのリスク伴う覚悟は必要になります。
ふたつめに、そもそも、社長の給与をいくらに設定しておくかという大問題があります。業績を予測し、多めに報酬を決めておくわけですが、いったい誰がどうやって業績を予測するのでしょうか。業績の予測に失敗すれば法人税が課されますし、かといって社長の給料を高くしすぎると、すでに述べたとおり所得税や社会保険料の負担がのしかかります。
みっつめは、法人税を払わなくて良い状態(つまり赤字)にすると、融資が受けにくくなるという問題があります。銀行が赤字の会社に融資をしたがらないというのは、ご理解いただけると思います。これからはじめて社長になるという方には分かりにくいかもしれませんが、『資金繰り(銀行からお金を借りるなどなど)』は社長の非常に大切な仕事のひとつです。
消費税を2年間払わなくてよい
個人事業主の方が会社を作ることを『法人成り(ほうじんなり)』といいます。消費税の課税事業者である個人事業主の方も、上手に法人成りをすると2年間消費税を払わなくてよいというメリットがあります。これは確かに、これだけ単体でみればメリットといえますが、やはりよく考えていただきたいところです。
会社設立により、会社が負担すべき費用(税金、社会保険料、専門家への報酬)は増加する可能性があります。仮に、その増加額が年に『たったの20万円』だったとしても、10年会社経営を続ければ合計200万円です。20年続ければ400万円です。また、会社設立には30万円近くの費用がかかります。
たった2年分の消費税だけを見て会社の設立を考えるのは、良い方法ではありません。
会社の借金を社長が返す必要はない
これはすでに、別のページで述べています(詳しくは会社と社長は別人をご覧ください)。たしかに、社長は会社の借金(債務)を返す必要はありません。
ただし、やはり色々と問題があります。
まず、実務上、会社が借金をするときは、社長が必ず保証人になるということです。社長が保証人にならないのに会社にお金を貸してくれるという奇特な人などいません。保証人になれば、社長が会社の借金を返す義務が生じるのは当然です。
もちろん、もしかしたら、親戚や友人などが、社長が保証人にならなくてもお金を貸してくれるということもあるかもしれません。しかし、社長を信頼して大切なお金を貸してくれた親戚・友人に「会社が潰れたから私は知りません」なんて言えないとのが普通でしょう。また、「言える」という方もいるかもしれませんが、そのような不誠実な人は社長になるべきではありません。社長は、お客様、従業員、取引先など、たくさんの人の人生に大きな影響を与える存在なのです。
また、お客さんに損害を与えてしまった場合、お客さんに賠償すべきは会社であり、社長は責任を負わなくてよいということになっています。これも会社設立のメリットとしてあげられます。
しかし、私はこの考え方には大反対です。十分な資力がない人間が、任意保険に入らずに車を運転するようなものであり最低の行為です。万が一お客様に対して損害を及ぼしてしまったとしてもきっちりと対応ができるよう、保険に入るなどの措置を講じておくべきであって、会社を盾にして逃げるなどという方法を考えるべきではありません。また、会社を盾にして逃げようなどと考えていると、思わぬしっぺ返しを受けます(法律は誠実でない人に対して優しくはありません)し、お客様から愛される会社を作ることはできません。
会社にすると信用が高まる
私は、株式会社だから信用できるとか、個人事業主だから信用できないなどと考えて、お店を選ぶことはありません。しかし、実務上は会社組織にした方がお客さんから信頼を得やすい業種というのもあるでしょう。また、取引先企業が「会社としか取引をしない」という場合もあります。
会社でないとできない仕事をする
たとえば、介護事業は、個人ですることができません。介護事業所を開設するには、会社を作る必要があります。このような場合は、デメリットがあるとはいえ、会社にせざるを得ません。

